マキタTD023D対HiKOKI WH3DA。プロのサブ機に選ぶならどっち?
「本締めは18Vのインパクトドライバーで十分。でも、狭い盤内や家具の中でドライバーを取り回すたびに手首が痛い」——電気工事や内装、建具の現場でそんな悩みを抱えている職人さんは多いのではないでしょうか。
2026年2月、マキタとHiKOKIから相次いでペン型インパクトドライバーの新モデルが登場しました。マキタの「TD023D」は約10年ぶりのモデルチェンジ、HiKOKIの「WH3DA」は業界初のジョイスティックスイッチを採用した意欲作です。どちらも最大締付トルクは25N・mとほぼ同格ながら、電圧・操作方式・重量バランスにはっきりした違いがあります。
この記事では、両モデルのスペックを比較表で整理したうえで、プロ・職人がサブ機として選ぶ場合にどちらが向いているのかを、金物屋の売り場目線も交えて解説します。結論を先に言うと、トリガー操作に慣れている人・マキタの18Vバッテリーを使っている人はTD023D、片手での速度調整を重視する人・仮止め作業が多い人はWH3DAが向いています。
TD023D と WH3DA の比較表
| 項目 | マキタ TD023D | HiKOKI WH3DA |
|---|---|---|
| バッテリー電圧 | 7.2V(BL0715など) | 3.6V(BCL350T/T-PWR) |
| 最大締付トルク | 25N・m | 25N・m(最大255kgf・cm) |
| 無負荷回転数 | 0~2,450min-1 | 0~2,700min-1 |
| 打撃数 | 0~3,000min-1 | 0~3,000min-1 |
| スイッチ方式 | 左右両側面トリガースイッチ | 業界初ジョイスティックスイッチ(3段階スローモード付) |
| 質量 | 0.57kg(バッテリー込み) | 0.58kg(バッテリー込み) |
| サイズ(ピストル形) | 229×42×142mm | 233×158mm |
| LEDライト | 1灯 | 2灯(消灯まで約10秒点灯) |
| ビット装着 | ワンタッチビット装着(テーパースリーブ) | ワンタッチビット装着 |
| 防塵防滴性能 | 非対応 | 非対応 |
| 本体価格(税別) | 15,200円(TD023DZ) | 13,400円(WH3DA・NN) |
| セット価格(税別) | 24,600円(バッテリー2個・充電器・ケース付) | 25,000円(バッテリー2個・充電器付) |
| 保証・修理体制 | 全国のマキタサービスステーションで対応 | 全国のHiKOKI修理受付窓口で対応・2年保証制度あり |
| DIY向け/プロ向け | プロ・DIY兼用(プロのサブ機需要が中心) | プロ・DIY兼用(新機構への関心が高い) |
| おすすめユーザー | マキタの18Vバッテリーを既に使っている人、トリガー操作に慣れたい人 | 片手での速度調整を重視する人、仮止め・微調整作業が多い人 |
※「知名度」「将来性」など根拠を示しにくい項目は比較表から除外しています。数値は各社公式サイト・カタログ記載の参考値であり、実際の使用感とは差が出る場合があります。
ブランド紹介:マキタ
マキタは愛知県安城市に本社を置く、充電式工具のグローバルメーカーです。全国129カ所の営業所網とサービスステーション体制が強みで、バッテリーの共有本数が多いユーザーほど「マキタで揃える」メリットが大きくなります。ペン型インパクトドライバーのカテゴリでは2016年発売のTD022Dを10年近くラインナップし続けてきた実績があり、TD023Dはその正統後継機にあたります。
強み:18V・40Vmaxを中心とした充電式ラインナップの広さ、全国対応のアフターサービス網。
弱み:TD023Dの変更点はビット装着部とハウジング意匠が中心で、電圧・トルクなど基本仕様は先代からほぼ据え置き。性能面での大きな進化を期待すると物足りなさを感じる可能性があります。
向いている人:既にマキタの18Vバッテリー環境を持っている職人、使い慣れたトリガー操作を継続したい人。
ブランド紹介:HiKOKI
HiKOKI(工機ホールディングス)は旧日立工機の電動工具事業を引き継いだメーカーで、AC工具からコードレスまで幅広いラインナップを持ちます。WH3DAは3.6Vという独自の電圧帯を採用し、業界初とうたうジョイスティックスイッチと3段階スローモードを搭載した意欲的な新製品です。
強み:ジョイスティックスイッチによる片手での速度調整、LED2灯による先端の視認性、電池残量お知らせ機能や誤作動防止ロックなど細部の使い勝手への配慮。
弱み:3.6Vという独自規格のため、既存のHiKOKIバッテリーとの互換性はなく、ジョイスティック操作自体も発売間もないため市場評価がまだ定まっていません。
向いている人:新しい操作方式を試してみたい人、ねじの仮止めや微調整作業が多い内装・建具系の職人。
金物屋スタッフの本音
正直に申し上げると、私自身はTD023DもWH3DAも実機はまだ触れていません。この記事はカタログスペックと公式サイトの仕様書をベースにまとめたものであり、通常サイズのインパクトドライバー(18V機など)を売り場で扱ってきた経験からの類推であることを先にお断りしておきます。
店頭での相談傾向として感じるのは、ペン型インパクトドライバーを探しに来るお客様の多くが「本締め用の18V機はすでに持っていて、狭い場所専用のサブ機が欲しい」という電気工事士や設備業の方だという点です。この層は工具箱の中身がすでにマキタかHiKOKIどちらかに寄っていることが多く、バッテリーの共有よりも「使い慣れたブランドの操作感を継続したいか」を重視して選ぶ傾向を感じます。TD023Dのように先代TD022Dからの正統進化型は、こうした「買い替え・買い増し」需要にはまりやすい商品だと思われます。
一方でWH3DAのジョイスティックスイッチは、同じHiKOKIのブラシレス機で採用されている新しい操作系の考え方に近い印象があり、関連製品を扱ってきた感覚からすると「触ってみないと好き嫌いが分かれる」タイプの機構だと予想しています。売り場感覚として、新機構を搭載したモデルは発売直後は様子見のお客様が多く、口コミが増えてくる数カ月後から動きが出てくることが多いです。現時点ではまだ入荷・実機展示が薄いメーカーも多いはずなので、購入前に店頭で実機のスイッチ操作を試せるかどうか確認することをおすすめします。
現場目線・実用目線で見る選び方
バッテリー共有を重視するなら:TD023DはBL0715など7.2V系バッテリーを使用しますが、これは18V・40Vmax系とは別規格です。「バッテリーを使い回したいから」という理由だけでどちらかを選ぶメリットは薄く、あくまで独立したサブ機として検討するのが実態に近い選び方です。
初めてペンインパクトを揃える場合:操作方式に強いこだわりがなければ、実績のあるトリガー式のTD023Dの方が扱いに迷いにくいでしょう。新しい操作感を試したい場合はWH3DAのジョイスティックスイッチが選択肢になります。
コスト重視/性能重視:本体価格はWH3DA(13,400円・NN仕様)がTD023D(15,200円・Z仕様)よりやや安く、セット価格はほぼ横並びです。性能面(トルク・打撃数)は両者ほぼ同等のため、価格差よりも操作方式の好みで選んだ方が満足度は高くなりそうです。
長く使う場合:どちらも防塵防滴非対応のため、粉塵の多い現場では保管方法に注意が必要です。修理・部品供給の面では、両社とも全国対応のサービス網があるため大きな差はありません。
DIY用途/プロ用途:DIYであれば家具の組み立てや家電の設置など軽作業中心での使用が想定されるため、どちらのモデルでもオーバースペックなくらいです。プロ用途では「本締め機の補助」という位置づけを明確にし、無理な高トルク作業には使わないことが長持ちのコツです。
おすすめモデル紹介
マキタ TD023D(TD023DSHX/TD023DZ)
特徴:先代TD022Dの正統後継機。テーパー形状のビットスリーブと押し込むだけのワンタッチビット装着構造で、ビット交換のストレスを軽減しています。
メリット:18Vなど他のマキタ機に慣れたトリガー操作をそのまま使える、5カラー展開でモチベーションが上がる、全国対応のサービス体制。
デメリット:基本仕様は先代とほぼ同じでトルク・回転数の伸びしろがない、防塵防滴非対応。
おすすめユーザー:マキタの18V環境を持つ電気工事士・設備業の方。
購入時の注意点:本体のみ(Z)とセット(SHX)で価格差が大きいため、バッテリーを持っていない場合はセット品を選びましょう。
HiKOKI WH3DA(WH3DA・2JS/NN)
特徴:業界初をうたうジョイスティックスイッチと3段階スローモード(600/1,000/1,300min-1)を搭載。ねじの仮止めやカムアウト防止に配慮した設計です。
メリット:片手の指1本で速度調整ができる、LED2灯で先端が見やすい、電池残量お知らせ機能や誤作動防止ロック付き、ピストル形とストレート形の2形状に変形可能。
デメリット:3.6Vという独自規格で他のHiKOKI機とバッテリーを共有できない、新機構のため操作に慣れが必要な場合がある。
おすすめユーザー:仮止め作業が多い内装・建具系の職人、新しい操作方式を試したい人。
購入時の注意点:NN仕様は本体のみでバッテリー・充電器が別売りのため、初めて揃える場合はセットの2JS仕様がおすすめです。
メンテナンスの基本(初心者向け)
ペン型インパクトドライバーは小型ゆえに内部にほこりが入りやすい構造です。使用後はビット差込口周りをブロワーやエアダスターで軽く清掃し、湿気の多い場所での保管は避けましょう。バッテリーは満充電・完全放電のどちらの状態でも長期保管しないのが基本で、常温の乾燥した場所に保管するとセル劣化を抑えられます。ビットが奥まで入らない、締付けが甘くなったと感じた場合は、無理に分解せずメーカーのサービスステーション・修理受付窓口に相談してください。
よくある質問(FAQ)
Q1. TD023DとWH3DAはどちらのトルクが強いですか?
A. 両機とも公式スペック上の最大締付トルクは25N・mで同格です。実際の締付フィーリングは無負荷回転数や打撃数、スイッチの操作感の違いによって印象が変わることがあります。
Q2. バッテリーは他のマキタ・HiKOKI製品と共有できますか?
A. できません。TD023Dは7.2V系(BL0715など)、WH3DAは3.6V系(BCL350T)と、どちらも18V・36Vなど本締め機用のバッテリーとは別規格の専用バッテリーを使用します。
Q3. DIY用途でもペン型インパクトドライバーは必要ですか?
A. 家具の組み立てや家電の設置程度であれば、通常サイズのドライバードリル1台でも代用可能です。ペン型は「狭い場所での取り回しやすさ」に特化した工具なので、必要性は作業環境次第です。
Q4. WH3DAのジョイスティックスイッチは使いにくくないですか?
A. 発売間もない新機構のため、当編集部でも実機での評価はこれからです。倒す角度で速度を調整する方式のため、トリガー式に慣れている方は購入前に店頭で操作感を確認することをおすすめします。
Q5. 防塵防滴性能はありますか?
A. TD023D・WH3DAともに防塵防滴性能には対応していません。粉塵や湿気の多い現場では保管方法に注意してください。
Q6. どちらが修理しやすいですか?
A. マキタ・HiKOKIともに全国にサービスステーション・修理受付窓口を持っているため、修理のしやすさに大きな差はありません。
結論:読者別おすすめ
DIY初心者の方:操作に迷いにくいトリガー式のTD023Dが無難です。
プロ・職人の方:既存のマキタ環境があればTD023D、新機構の速度調整を試したいならWH3DAを検討しましょう。
コスパ重視の方:本体のみ仕様で比較するとWH3DA(13,400円)がやや安価です。
性能重視の方:数値上のスペックはほぼ横並びのため、LED2灯やスローモードなど機能面の違いで選ぶのがおすすめです。
長く使いたい方:使い慣れたブランドのアフターサービス網を優先し、既存の工具環境に合わせて選ぶのが安心です。
まとめ
マキタTD023DとHiKOKI WH3DAは、最大締付トルク25N・mというペン型インパクトドライバーの到達点をそれぞれ体現した2機種です。TD023Dは実績あるトリガー操作の正統進化型、WH3DAはジョイスティックスイッチという新しい操作方式への挑戦、という住み分けになっています。どちらも防塵防滴非対応・バッテリー非共有という制約は共通しているため、価格やスペックよりも「普段使っているブランドの操作感を継続したいか、新しい操作方式を試したいか」で選ぶのが失敗しないポイントです。
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この記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。最新の価格・仕様はメーカー公式サイトをご確認ください。

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